「罪」は、刑罰を科せられる不法行為です。
法律上の犯罪です。
英語では「a crime」「an offense」「a sin」で表されます。
「法律上の罪」という意味の場合「a crime」「an offense」を使います。
「道徳・宗教上の罪」という意味の場合「a sin」です。
「罪をおかす」は「He committed a crime.」です。
「罪の意識」は「a sense of guilt」です。
「科・とが」は、罪となる行為、また、罪によって科せられる罰のことです。
英語では以下のように表されます。
「窃盗の科で逮捕された」は「He was arrested on a charge of theft.」です。
「彼の科ではない」は「It’ not his fault.」「It’ not his blame.」です。
「罪科・ざいか」は、法律や道徳・宗教のおきてなどに反した罪です。
また、法律に照らして処罰することです。
英語では「罪」と同様に表されます。
「刑罰」という意味の場合「punishment」を使います。
「罪」の意味
「罪」は、以下のような意味です。
①神の禁忌を犯し、その報いを受けるべき凶事です。
古事記(中)に「罪のたぐいをくさぐさ求(ま)ぎて、国の大祓して」とあります。
②社会の規範・風俗・道徳などに反した悪行・過失・災禍などです。
また、その行いによって受ける罰です。
竹取物語に「かぐや姫は罪をつくり給へければ」とあります。
③刑罰を科せられる不法行為です。
法律上の犯罪です。
④仏教に於いては、その教法を破る行為です。
あるいは、その人の背負っている罪業です。
⑤キリスト教に於いては、神の言葉にそむくことです。
⑥悪いことや行いに対する自覚、または責任です。
蜻蛉日記(中)に「罪もなく、さりげもなくいふ」とあります。
⑦無慈悲なこと、思いやりのないことです。
以下のように使います。
これ以上の罪を重ねるな 罪なことをする 子供に罪はない 犯した罪の報い 盗みの罪
彼の犯した罪は重い 罪の告白 罪に問われる 誰の罪でもない
「科・とが」の意味
「科・とが」は、以下のような意味です。
①とがめなければならない行為・過ちです。
源氏物語(夕顔)に「はぐくまむに、科あるまじきを」とあります。
②避難させられるような欠点・短所のことです。
万葉集(14)に「悪しかる科もさね見えなくに」とあります。
③とがめ・避難です。
源氏物語(梅枝)に「好き好きしき科を負ひて、世にはしたなめらりき」とあります。
④罪となる行為・罪です。
⑤罪によって科せられる罰のことです。
※責任を負うべき過失や過ちは「咎」、法律上の罪となる行為は「科」と書き分ける場合があります。
以下のように使います。
押し込みの科で獄門になる 盗みの科 彼には何の科もない
「罪科・ざいか」の意味
「罪科・ざいか」は、以下のような意味です。
①罪と科(とが)のことです。
法律や道徳・宗教のおきてなどに反した罪です。
②法律に照らして処罰することです。
「しおき」と同じ意味です。
以下のように使います。
罪科を糺(ただ)す 罪科に問われる
<関連語>
「罪悪」は、道徳・法律・宗教や社会習慣に背く悪い行為のことです。
「罪悪にさいなまれる」のように使います。
「罪」は、 刑罰を科せられる不法行為、法律上の犯罪です。
「科・とが」は、罪となる行為、また、罪によって科せられる罰のことです。
「罪科・ざいか」は、 法律や道徳・宗教のおきてなどに反した罪です。
「罪」と「科・とが」と「罪科・ざいか」は、類語です。
「罪悪」は、これらの言葉の関連語です。
共通する意味は「法律・道徳・宗教などに反した行為」です。
「罪」は、三語の中で最も意味が広く、「罪に服す」のように、法律・道徳・宗教に背いた行為に対する処罰を意味します。
また、「罪を着せる」のように、悪い行為や過ちを犯した責任の意味などに使われます。
さらに、「罪なことをする」のように使って他人を悲しませるたり苦しませたりする無慈悲なさまの意味にも用います。
「科・とが」は、法的に、また道徳的に人からとがめられるべき行為のことで、「罪」より古めかしい語です。
また、責任を負わなければいけないような過失の意味にも使います。
「咎」とも書きます。
「罪科・ざいか」は、法律・道徳・宗教に反した行為やそれに対する処罰を意味します。
「罪」より文章語的で狭い範囲で使われます。