「匂い」は好ましいもの「花の匂い」「香水の匂い」など。

元々、においという表現は中国から「臭」という文字だけでしたが、日本独特の表現として「匂」という文字が使われ始めました。

「臭い」は好ましくないもの。

「下水の臭い」「ゴミの臭い」など。

臭いとかいて「におい」読みますが、表現によって「くさい」とも言います。

「臭い」という表記だけでは「におい」なのか「くさい」なのか判断しかねる場合があると思います。

こういったことから、前述の「匂」をよい表現として分け、「臭い」を心地よくない、好ましくない方の「におい」として使われ始めました。

「匂い」の意味

嗅覚にとって心地よい匂い、バラの甘い匂い、石鹸の匂いなど、好ましい匂いの表現として「匂い」が当てられます。

この文字はもともとは中国から伝わった文字ではなく、日本独自で生み出された文字です。

においの種類に敏感だった日本人は、匂いを表す文字として「臭」の1文字が中国からは伝わりましたが、それでは表現しきれないと考え、新たに好ましい匂いの表現として「匂い」を生み出しました。

「臭い」の意味

嗅覚にとって好ましくない、不快に感じるにおいとして「臭い」とい文字が使われています。

ゴミの臭い、下水の臭いなどです。

また比喩として「犯罪の臭い」や、疑わしいときに「~臭い」、芝居などで大げさ、または大根芝居のことを「~臭い芝居」などがあります。

汗臭い、年寄り臭い、ケチ臭いなど、こちらの「臭い」は好ましくない意味として幅広く使われています。

「匂い」と「臭い」は肯定的と否定的

「匂い」は主に肯定的なにおい、また表現として多く用いられる言葉です。

「臭い」は主に否定的なにおい、また表現として用いられる言葉です。

発音は同じですが、その表記が違うだけで随分とイメージが変わります。

一般に肯定的なにおいを「臭い」と表記する人はいません。

同じように否定的なにおいを「匂い」と表記する人もいないと思います。

「怪しい匂い」、「惑わす匂い」など、人を惹きつけてしまう悪そうなにおいの場合は「匂い」と表記したりもしますので、一概に全てないとは言い切れません。

それくらい日本語の表現の幅が広いということだと思います。

同じ「におい」なのに、人の好みで別れる表記

心地よい、悪いは人が決めただけの話です。

このにおいは臭いから「臭い」にしよう。

でも人を惹きつける「フェロモン」などは甘美なイメージがありますし「フェロモンの匂い」とも表記しますが、
実際のフェロモンといわれるものの臭気としては「臭い」に分類されてもおかしくないのです。

フェロモンは脇の下や耳の後ろといいますし、そこが必ずしも人が想像するいい匂いとは限りません。

この「匂い」と「臭い」の差は、やはり日本人独特の繊細さが影響しているのでしょう。

実際に中国から伝わったにおいを表す文字は「臭」の1文字だけだったのですから。

この同じ発音でありながらも、そこに違いを設けて細分化し、においの表現にバリエーションを加えた先人のおかげで、においという言葉で様々な使い方ができるようになりました。

その文字を目にするだけでそのにおいが嫌な臭いなのか、良い匂いなのかが文字の全体を見なくても瞬時に理解できるのですから。

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