「芥川賞」は小説家芥川龍之介から名をとって創設された、主に純文学を執筆している無名・新人作家に対して表彰する日本の文学賞です。
「直木賞」は小説家直木三十五から名づけられて創設された、主に大衆文学を執筆している無名・新人、あるいはキャリアとして中堅と呼べる作家に対して表彰する日本の文学賞です。
どちらも1935年、菊池寛が早世した二人の小説家を記念して創設したものであり、日本文学振興会が年2回対象の作家に対して授与しています。
芥川賞とは
芥川賞は正式には「芥川龍之介賞」であり、友人の菊池寛が彼を記念して創設したものです。
芸術性を重視している純文学を書いている無名の作家に対して授与するものであり、主に短編・中編小説の作品を手掛けた作家に贈られる傾向があります。
受賞すると懐中時計と副賞100万円のほか、『文藝春秋』に受賞作品が掲載されます。
2004年に最年少受賞として綿矢りさが19歳で受賞したことや、芸人・タレントの又吉直樹が2015年に『火花』で受賞したことなどが話題になりました。
直木賞とは
直木賞は「直木三十五賞」が正式名称であり、友人の菊池寛が前年に死去した彼を記念して創設したものです。
娯楽性を重視する大衆文学を得意とする作家に授与する賞としてその地位を高めてきました。
芥川賞と同様に発表され、受賞されると懐中時計・副賞100万円がもらえるほか『オール讀物』に作品が掲載されます。
著名な方では宮部みゆきや石田衣良、『下町ロケット』の池井戸潤などがいます。
芥川賞と直木賞の違いは
芥川賞は芸術性重視の純文学、直木賞は娯楽性・大衆性を重視する大衆文学とされており、どちらも無名の作家、キャリアとしては新人の作家に対して授与するものとされています。
しかし、純文学と大衆文学の境界線があいまいな部分があったり、有名な作家でもキャリアとして長いことから授与されなかったりします。
戦争中に中断されたことから、その時期に名声を高めた作家がもらえなかったケースもあります。
三島由紀夫が代表的なケースですし、ノーベル賞候補として長年挙げられている村上春樹も受賞していません。
一方、直木賞はすでに有名であり複数の文学賞をもらった経験のある作家が授与されることも見受けられます。
芥川賞と直木賞は作家の登竜門
しかし、新人作家にとっては、芥川賞・直木賞とも手に入れたい文学賞の一つです。
数ある文学賞のなかでもメディアで最も取り上げられるものであり、受賞を契機にその作家の作品が爆発的に読まれることも多々あります。
何回も候補に挙がりながら受賞できずにいる作家もいれば、一発で選考委員の眼鏡にかなったことで受賞される作家もいます。
いずれにしても、この二つの賞はまさに小説家としての登竜門といえるでしょう。