この二つの言葉の共通する意味は、「人や物やシステムを使って、何かをすること」です。
「使用」は、特定の目的のために人や物やシステムを使うことを言います。
「利用」は、物やシステムや施設等が持つ機能や特性を充分に(あるいは拡張させて)使うことです。
「人を利用する」という場合、「他人の力を使って自分に都合が良いことを行うこと」をいいます。
「使用」の意味
「使用」は、「人や物を使い用いること」「使うこと」です。
「賃金を支払い、あるいは権限で他人を労務に奉仕させること」も意味します。
類語には「利用」「運用」「活用」があります。
「道具を使用する」「使用料を支払う」「市民プールを使用して大会を運用する」「火力発電を使用する」「特別機ではなく、民間機を使用する」のように使います。
「利用」の意味
「利用」は、「利益になるように物やシステム・施設を用いること。
役に立つようにそれらを用いること」です。
または、「手段・方便として自分に都合の良いように使うこと」です。
物やシステムを利用する場合
「人を利用する」「利用価値がある」「風力を利用する」「介護サービスを利用する」のように使います。
私利私益に使われる場合
「地位を利用して利益を図る」「特権を利用する」のように使います
「使用」と「利用」の用途
◇使用
「~を使用する」「~が使用される」
「使用中」」「使用済み」
合成語の場合
「使用価値」・・・物の有用性
「使用証明」・・・退職に際して労働者の請求に基づいて使用者が交付する証明書
「使用貸借」・・・民法上、当事者の一方が無償で使用および収益をした後に、返還することを約して
相手方から目的物を受け取ることによって成立する契約。
「使用者」・・・雇用者
「使用人」・・・雇われ人
「使用料」・・・使用した対価として支払う料
◇利用
「廃棄物を再利用する」「太陽エネルギーを利用する」「図書館を利用する」
合成語の場合
「利用者」・・・・利用する人。
英語では、[a user]と表します。
「利用価値」・・・「利用するだけの価値」「利用することで得られる利益」のことです。
「利用厚生」・・・「書経」に「徳を正し、用を利し、生を厚くす。
これ和せん。
」とあります。
この言葉から「利用厚生」は、「人民の使用する器具を便利にし、日常生活を豊かにし、生計を不足のないようにすること」を言います。
まとめ・「使」と「利」の漢字
「使」の漢字は、「人+吏」で構成されます。
「吏」の部分は、役人の意味です。
これに「人」偏を加えて「仕える人」を表しました。
このことから「人を使う」という意味に発展しました。
「利」の漢字は、「禾+リ」で構成されます。
「禾」は稲の象形です。
「リ」は、「刀」を表し、鋭い刃物の象形です。
甲骨文字では、「利」は「刀+禾+又+土」で構成されました。
その文字から、「稲に手をかけて鋭い鋤で土を起こす様」を表しました。
そのことから、「利」は「農耕に役立つ」という意味に発展しました。