俳句も川柳も、基本的な形式として、5・7・5文字でつくられる文学という点では似ています。
ただし、俳句は基本的には季語を持ち、主に情感をうたいあげます。
「短い詩」と言えばわかりやすいでしょうか。
これに対して、川柳は季語にこだわることはなく、主に人間の営みをうたいあげます。
「超短編のドラマ」と言えばわかりやすいでしょうか。
俳句の意味
基本的な形式は5・7・5文字です。
季語を含むのが普通です。
季語もなく、5・7・5の形式によらない自由律俳句というものもありますが、ここでは除外しておきます。
俳句で有名なのは松尾芭蕉ですね。
古池や 蛙飛びこむ 水の音
季語は蛙で、春を表します。
シーンと静まり返った古い池に、蛙が飛びこんだときの小さな音の響く様子、そしてそれを見て聞いていた人の感情の動きがうたわれています。
「川柳」の意味
基本的な形式は5・7・5文字です。
季語にこだわりません。
俳句との違いはわかりにくいものがあります。
昔、ある川柳作家がこんなことを言ったそうです。
「俳句の範囲は、俳人たちが決めてくれ。
それ以外の部分を川柳でみんなもらおう」
つまり、5・7・5の形式で、俳句ではないものはすべて川柳である、と言いいたいのです。
が、ここではわかりやすく、ドラマ的なものを川柳を呼ぶとしておきましょう。
「俳句」と「川柳」の例
まず俳句の例をもうひとつあげておきます。
夏草や 兵どもが 夢の跡
かつて戦のあった場所に、今は夏草がぼうぼうと茂っている、そのわびしさを描いています。
次に川柳です。
ここでは、江戸時代の古川柳と呼ばれるものを1句紹介します。
泣き泣きも 良い方を取る 形見分け
いががでしょうか。
説明の必要もない句ですね。
俳句や川柳に興味を持ったら
俳句も川柳も、対象となるものはコトを、じっと見つめ、そこから「なにものか」を取り出そうとすることで生まれる文学です。
そこから「詩的な情感」を取り出して描くのが得意な人は、俳句の世界に行けばよいでしょう。
そこから「人間ドラマ」を取り出して描くのが得意な人は、川柳の世界に行けばよいでしょう。
俳句には俳句の入門書がたくさんでています。
一方、川柳には川柳の入門者が、これまたたくさん出ています。
興味のある方は、そういった本を読んでみてください。