貴族とは、社会における特権を持った身分階層やその集団であり、社会的特権を表すものとして称号や爵位を持っている者があります。

日本では、従来天皇に仕える宮廷官人を務める家柄として指すこともあります。

また、多くの名誉を兼ね備えていますが、21世紀では、栄誉的な階級・集団とされています。

華族とは、日本においてかつて存在していた貴族的な階級であり、江戸時代までの公家や大名家のほか、功労のある人物が名を連ねるなど、日本版貴族制度ともいえます。

貴族の意味

貴族とは、特権的要素を兼ね備えており身分・階級のことです。

世界的には、古代から貴族は存在しており、支配階級として社会的な特権が与えられていました。

また、貴族は時に奴隷を抱えているほか、広大な領地を持ち、財産を持っていることがしばしばありました。

そのため、世界史上では一般民衆から敵視されることもあり、革命がおこる引き金になることもありました。

日本では、古代の豪族から発展し、天皇家に仕え、朝廷で政務を担う官人の家柄を指すことがあり、中世以降は公家と称されるようになりました。

華族とは

華族とは、1869年に定められた日本の制度によって生まれた貴族階級のことです。

江戸時代までの公家や大名家が軒並み華族という階級に移行しましたが、明治維新に多大な勲功がある人物に対しても華族となることがありました。

華族は1884年の華族令によって5つの爵位(公・侯・伯・子・男)に叙されることになりました。

これによって華族にも格付けがはっきりなされるようになりました。

1947年の新憲法施行に伴い廃止されました。

貴族も華族も特権がたくさん

世界的な貴族は、歴史上支配階級に位置づけられるほか、高貴な血筋・身分・家柄ということで特別視されていました。

世襲によるものであるため、貴族の家柄は固定化されることがほとんどでした。

イギリスでは、現在でも貴族制度が維持されていますが、今や栄誉的な身分であるとみなされています。

ただ、イギリスでは一般人でも功績のある人物に対して1958年から一代貴族が制定されています。

一方、華族は近代日本における貴族制度といえますが、華族令制定当時の家柄などを勘案して叙爵されています。

また、明治維新の功労者が立て続けに授爵されていることもあります。

特権として貴族院議員への就任や学習院への入学などがあったようです。

貴族は形骸化、華族も存在しない

世界各国の貴族も、かつては王室を支える階級と位置付けられていました。

日本で明治時代に華族が設けられたのも、「皇室への藩屏」として天皇家を支えることが目的の一つでした。

しかし、民主主義の発達や人権思想、身分主義の前近代的要素などをもって、人々は特権階級とされる貴族・華族は、出自による差別とされてきました。

日本では1947年の日本国憲法で明確に貴族・華族制度の廃止を挙げており、出自による差別もしないと謳っています。

イギリスも、もはや形式のみとなっており、他の国々でも王国でない限りはほとんど姿を消してしまいました。

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