漢字の場合、2文字や3文字が連なった熟語だと、知らない言葉でも何となく意味の違いを理解できるものですが、1文字だと誤解することがあります。
その典型が、「有る」、「在る」、「或る」です。
全て「ある」と読みますが、それぞれ意味が異なり、有るは何かが備わっていること、在るは場所に存在すること、或るは漠然とした物事の表現を指しています。
有るとは
「有る」は、「何かが備わっている」という意味があり、所有という言葉がそれを表しています。
備わっているものは物体である必要が無く、権力や名声、気持ち、技術など、有形・無形を問いません。
例えば、家があるや権力があるは所有を示していることから、有ると書きます。
また、脈があるは、好感触を持っているという意味で、有るになります。
在るとは
「在る」は、「場所に存在する」という意味があります。
それを端的に示しているのが所在という言葉です。
場所は空間的なもの以外に、観念的な位置を指す場合も在るを使います。
例えば、清水寺はどこにあると聞けば、場所を確認しています。
また、役所の管轄にあるは、役所に命令される位置にあることを示しています。
存在を意味する場合は、全て在るになります。
或るとは
「或る」は、「漠然とした物事の表現」を意味しています。
また、有るや在る同様、存在する物事を表します。
例えば、ある日と言った場合は、定まった日ではありませんが、漠然と存在した出来事のあった日を指しています。
ある老人と言ったり、ある噂と言ったりした場合も同様に或ると書きます。
なお、或るは名詞を修飾する連体詞になります。
兼用も可能
文章によっては、2つの言葉のどちらでも意味の通じることがあります。
例えば、学校の校庭に砂場がある、という場合、学校が砂場を所有している意味の有る、校庭に砂場が存在している意味の在る、と解釈できます。
なお、3つの言葉とも、通常は「ひらがな」で表記されるため、どの意味で使われているかは前後の文章から判断することになります。