「つたない」は、能力が劣っているさまです。
英語では「inexperienced」で表されます。
「あの方は私のようなつたないものにも親切にしてくれた」は「He was very kind even to a worthless man like me. 」です。
「ふつつか」は、配慮が行き届かないことです。
英語では「unrefined」「inexperienced」「careless」で表されます。
「ぶしつけな」という意味の場合「unrefined」を使います。
「未熟な」という意味の場合「inexperienced」です。
「行き届かない」という意味の場合「careless」です。
「ふつつか者」は「an inexperienced person」です。
「不肖」は、父に似ないで愚かなことです。
また、師に似ず劣っていることです。
英語では以下のように表されます。
「不肖の子」「不肖の弟子」という意味の場合「an unworthy son 」「an unworthy pupil 」「a son unworthy of his father」「a pupil unworthy of his teacher」です。
自分を謙遜して言う「本日、不肖私が議長をつとめさせていただきます」は「With your permission I will take the chair today. 」です。
「つたない」の意味
「つたない」は、以下のような意味です。
①物事に巧みでないさまです。
まずいことです。
②能力が劣っているさまです。
至らないことです。
③運が悪いことです。
薄命であることです。
源氏物語(玉鬘)に「宿世つたなき人や侍らむ」とあります。
以下のように使います。
つたない字を書く 先生の足元にも及ばないつたない弟子です
その技術はつたないものだ 武運つたなく戦場の露と消える
「ふつつか」の意味
「ふつつか」は、以下のような意味です。
①太くしっかりしていることです。
宇津保物語(蔵開上)に「大きやかにふつつかに肥え給へるが」とあります。
②不格好なことです。
不体裁なことです。
源氏物語(夕顔)に「少し黒みやつれたる旅姿いとふつつかに心づきなし」とあります。
③雑なさまです。
軽はずみなさまです。
徒然草に「不幸に愁へに沈める人のかしらおろしなど、ふつつかに思ひとりたるにはあらで」とあります。
④つたないことです。
配慮が行き届かないことです。
気が利かないことです。
「不調法」と同じ意味です。
⑤江戸時代、叱り・手鎖・過料などを処す時、裁判の宣告文の終わりに罪名の上に付けた言葉です。
「ふらち」「ふとどき」と同じ意味です。
以下のように使います。
ふつつかな点は幾重にもおわびいたします 不束な娘ですが、よろしくお願いします
ふつつか者
「不肖」の意味
「不肖」は、以下のような意味です。
①父に似ないで愚かなことです。
また、師に似ず劣っていることです。
②愚かなことです。
取るに足らないことです。
平家物語(3)に「身不肖の間、かれもって服贋せず」とあります。
(服贋・ふくよう・・心に留めて忘れないこと)
③運の悪いことです。
みじめなことです。
太平記(27)に「身の難に逢ひ不肖なる時は」とあります。
④自分の謙称です。
以下のように使います。
不肖の私が会長の栄を担うことになりました。
不肖、私にお命じ下さい
不肖ながら誠心誠意努力いたします
「つたない」は 能力が劣っているさま、「ふつつか」は 配慮が行き届かないこと、「不肖」は 父に似ないで愚かなこと、また、師に似ず劣っていることです。
「つたない」「ふつつか」「不肖」は、類語です。
共通する意味は「人や物事などが、あるべき姿より良くないさま」です。
「つたない」「ふつつか」「不肖」の三語とも、多くの場合、自分または身内を謙遜して言う時に使います。
「つたない」は、能力や品格が劣って愚かなさまをいいます。
「拙い」とも書きます。
また、多くの場合、「下手だ」という意味で使います。
さらに、「武運つたなく戦死する」のように文語的に「不運だ」という意味に使うこともあります。
「ふつつか」は、配慮が十分ではないことです。
「物事を十分処理できない」という意味です。
「不束」と当てる場合があります。
「不肖」は、「父や師に肖(に)ず才能がなくて愚かな子供・弟子」という意味です。
「不肖の子」のように使います。