「傷」は、切る・突く・打つなどして皮膚・筋肉が損なわれた部分のことです。
その跡を指します。
「深い傷を負う」「切り傷」「すねに傷もつ者」「ひっかき傷」のように使います。
英訳する場合、「An injury / wound」で訳されます。
「怪我」は、過失・事故などで体に傷を負うことです。
またその傷をいいます。
「負傷」のことです。
「人に怪我をさせる」「大怪我」のように使います。
また、「損失」を指します。
「投機で怪我する」のように使います。
英訳する場合、「An injury/ hurt」で訳されます。
「傷」の意味
「傷」は、切る・突く・打つなどして皮膚・筋肉が損なわれた部分のことです。
その跡を指します。
「深い傷を負う」「切り傷」「すねに傷もつ者」「きっかき傷」のように使います。
また、精神的な痛手のことです。
「心の傷を癒す」のように使います。
さらに、物の表面が欠けたり裂けたりした部分のことです。
「柱のきず」「玉に瑕」「商品に疵がついた」のように使います。
また、不意完全な部分や欠点を指します。
「短気なのが傷になる」のように使います。
加えて、不名誉なこと、または、好ましくない評判や汚点をいいます。
「経歴にきずがつく」のように使います。
刃物による傷は「創」とも書きます。
欠点や汚点や物に付いた傷は、「瑕・きず」や「疵・きず」を使う場合があります。
一般的には「傷」を用います。
現代表記では、身体の傷は「傷」を用いますが、それ以外のものには仮名書きの「きず」が一般的です。
「切り傷」「柱のきず」「名前にきずがつく」のように区別して用います。
「怪我」の意味
「怪我」は、「思いがけない過ち」や「過失」のことです。
狂言(水掛婿)には、「イヤー、怪我で掛けました」とあります。
また、思いがけなく傷つくことです。
「負傷」を指します。
浄瑠璃(傾城反魂香)には「されども彼奴等と太刀打ちは、いつかないつかな、かなうまじ。
姫君にも怪我あらん」とあります。
さらに、不測の結果を言います。
「偶然」のことです。
浄瑠璃(新版歌祭文)には、「けっきなこなた投げたのではない怪我のはずみ」とあります。
「怪我の功名」「怪我人」「投機で怪我をする」「ちょっとした怪我です」のように使います。
「傷」と「怪」と「我」の字義と解字
「傷」の字義(漢字の意味)は、「きず・けが」「きずつく・きずつける」「やぶれる」「そこなう」「いたむ」「いためる」「いたましい」です。
解字(漢字の解説)に於いて、「傷」は「人+矢昜」で構成されます。
「矢昜」の部分は、「傷」という意味です。
「人」の部分を付して「きず・いたむ」の意味を表します。
「怪」の字義(漢字の意味)は、「あやしい」「あやしむ」「不思議」です。
解字(漢字の解説)に於いて、「怪」は「心+土+又」で構成されます。
土地の神の象形です。
「又」の部分は、「右手」の象形です。
「触れてはいけない土地の神の上に右手を置き、異常な心理状態となる、または、怪しむ」という意味を表します。
「我」の字義(漢字の意味)は、「われ・私」「わが」「かたいじ・頑固」「自分のことに執着すること・仏教用語」です。
解字(漢字の解説)に於いて、「我」は象形文字です。
刃先がギザギザした戈(ほこ)の形をかたどっています。
その形を借りて、「われ」の意味を表します。
字義では、「怪」と「我」には「けが」の意味はありません。
一説に、「けが」は「汚る・けがる」の語幹といいます。
「怪我」は当て字です。
「傷」は傷ついた所に重きを置き、動物以外でも使います。
「怪我」は傷つくことに重きを置き、動物についてしか使いません。
「傷」と「怪我」は類語です。
共通する意味は、「皮膚や筋肉などが裂けたり破れたりしたところ」です。
以下のように使います。
「額の傷」「傷がうずく」「傷は軽い」「傷を負う」「傷が痛む」
「怪我が軽くてすんだ」「すべって怪我した」
「傷」は、傷ついたところに重きを置き、「怪我」は傷つくことに重きを置いています。
「怪我」の方が「傷」よりも重く大きなものをいいます。
例えば、骨折は「怪我」ですが「傷」ではありません。
「傷」は「柱のきず」のように動物以外でも使いますが、「怪我」は動物についてしか使いません。
「傷」は、「創」とも書きます。
「古いきずを暴く」「心の傷」「名誉がきずつく」のように不名誉なことや心の痛手についても言います。
「怪我」には「素人が投機に手を出すと怪我するぞ」のように「損失」や「過ち」を意味する場合があります。