「容疑者」と「被疑者」は共に「何らかの犯罪を犯したと疑われる人」に対して使われますが、「容疑者」はマスコミの用語で正式な言葉ではありません。
法律上の正式な呼び方は「被疑者」が正しい呼び方です。
また、「被告人」という言葉は何らかの罪を犯したと疑われ刑事裁判にかけられた人に対して使われる法律上の言葉です。
「刑事被告人」とも呼ばれます。
「容疑者」はマスコミの用語で、正式な言葉ではない
ニュースなどで「何らかの犯罪を犯したと疑われる人」に対して「容疑者」という言葉が使われますが、これはマスコミの上でのみ使われる言葉であって法律上の正式な呼び方ではありません。
かつてニュース番組などでは犯罪を疑われる人に対しては名前の「呼び捨て」でしたが、ある冤罪事件をきっかけに「まだ犯人と決まっていないのに犯罪者扱いするのはおかしい」という声が各方面から挙がり、犯罪の「容疑」がある人ということで「容疑者」という呼び方になったようです。
「被疑者」が正式な法律上の用語
「何らかの犯罪を犯したと疑われる人」に対しての法律上の正式な用語は「被疑者」です。
「被疑者」とは警察や検察から見て「何らかの犯罪を犯したと疑われる人」に対して使う言葉でですが、「被疑者」=「犯人」ではありません。
あくまでも証拠などに基づいて「犯人」かどうかを決めるのは裁判所です。
警察・検察は「被疑者」が「犯人」であることの証拠を集めて証明することを求められる役割を負っているに過ぎません。
「被告人」は裁判にかけられてから刑が確定するまで使われる言葉
「被告人」とは「何らかの犯罪を犯したと疑われる人」が起訴され(刑事裁判にかけられ)てから有罪・無罪の別および刑罰が確定するまでの間に使われる言葉です。
「被告人」は犯罪を犯したことが証明されなければ「無罪」となり確定すれば「一般の人」になります。
有罪が証明されて刑罰が言い渡されて確定すればその人は「受刑者」となります。
なお、「被告人」という呼び方は刑事裁判のみに使われ、民事裁判には使われません。
このため便宜的に「刑事被告人」と呼ばれることもあります。
「容疑者」と「被疑者」、「被告人」は同じ人に対しても立場や呼ぶ人によって異なる
「容疑者」と「被疑者」、「被告人」は「何らかの犯罪を犯したと疑われる人」に対して使うことについては同じですが、その人の立場やその人を指す人の立場で異なります。
「容疑者」はマスコミの人達だけが使う言葉であり、警察・検察・裁判所や弁護士など法律に関わる人達が使う正式な呼び名は「被疑者」(裁判にかけられる前)「被告人」(裁判にかけられた後)ということなのです。
法律に定められた言葉を正しく知っておくことが必要ですね。