テレビドラマによくあるのが、知人の借金の連帯保証人になった人が自己破産するというシーンです。
なお、保証人には連帯保証人ではなく、単なる保証人という制度もあります。
その主な違いは、保証人には「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」があります。
しかし、連帯保証人には2つの抗弁権がありません。
つまり、連帯保証人は借金をした債務者と全く同じ義務を課せられるということです。
保証人の意味
保証人は、債務者が借金を返済できない場合、保証した金額分に対してのみ保証義務を負います。
また、保証人が複数いる場合は、債務額を保証人の数で割った金額だけが債権者に対する保証義務となります。
そして、保証人には債権者に対して「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」を主張できます。
・催告の抗弁権:『先に、債務者に請求してくれ』と請求順位を主張できる権利
・検索の抗弁権:『債務者は土地を持っているから、返済できるはず』などと債務者の財務内容を指定できる権利
連帯保証人の意味
連帯保証人には債権者に対する抗弁権がありません。
従って、債権者から返済を要求されると、債務者の返済能力の有無に関わらず、債務全額を返済しなければなりません。
なお、連帯保証人が複数いた場合、債権者に対して債務額全額の返済義務はありますが、保証額は連帯保証人の人数で割った額が対象になります。
ただ、連帯保証人には「分別の利益」がありません。
連帯保証人と連帯債務者
連帯保証人と同様な保証人に連帯債務者がいます。
ただ、連帯債務者には分別の利益があります。
分別の利益というのは、連帯債務者同士が債務額を平等の割合で分割した金額について保証債務を負担するというものです。
例えば、貸金業者から150万円の借金をした甲さんの連帯債務者としてA・B・Cさんがいたとします。
Aさんは貸金業者から150万円の返済を求められたら、150万円を支払わなければなりません。
その場合、B・Cさんにそれぞれ50万円ずつ求償できます。
また、Aさんが貸金業者に30万円を支払ったとします。
この場合、平等負担割合としてB・Cさんに10万円ずつ求償できます。
これが、分別の利益です。
一方、A・B・Cさんが連帯保証人だった場合、連帯保証人には分別の利益がありません。
従って、Aさんは50万円まで保証債務を負うため、30万円支払ったとしても、B・Cさんに対して10万円ずつ求償することはできません。
保証の性質
保証には付従性、補充性、随伴性という性質があります。
1)付充性
債務が存在しない時は、保証債務も存在しません。
債務者が完済して債務が消滅すれば保証債務も消滅し、債務額が減れば保証債務の額も減ります。
2)補充性
債務者がその債務を履行しない時に、初めてその債務を履行する責任を負います。
3)随伴性
債務に対する債権者が変更となる場合、保証債務の債権者も共に変更されます。