「つくづく」は、深く感ずるさまです。
英語では「keenly」で表されます。
「彼の恩をつくづく感謝した」は「I was filled with sincere gratitude towards him.」です。
「彼女のおしゃべりにはつくづく閉口した」は「Her chatter nearly drove me out of my mind.」です。
「しみじみ」は、深く心にしみるさまです。
英語では以下のように表されます。
「当時のことをしみじみ語った」は「He spoke with deep feeling about those days.」「He spoke with nostalgia about those days.」です。
「彼女の親切をしみじみ感じた」は「I felt keenly how kind she was.」「A sense of her kindness sank deep into me 」です。
「つくづく」の意味
「つくづく」は、以下のような意味です。
①念を入れて見たり考えたりするさまです。
ある物事に感覚を集中させるさまです。
「じっくり」「念を入れて」「つらつら」「よくよく」と同じ意味です。
②物思いに沈むさまです。
「物さびしく」「つくねんと」と同じ意味です。
源氏物語(幻)に「つくづくとおはする程、日も暮れにけり」とあります。
③深く感ずるさまです。
以下のように使います。
生きていくことがつくづく嫌になった つくづく将来のことを考える
子供の顔をつくづく眺める
「しみじみ」の意味
「しみじみ」は、以下のような意味です。
①深く心にしみるさまです。
「よくよく」「つくづく」と同じ意味です。
徒然草に「月の色もひときはしみじみ見ゆるぞかし」とあります。
②静かに落ち着いているさまです。
「しんみり」と同じ意味です。
③じっと見るさまです。
以下のように使います。
しみじみ語り合う しみじみ相手の顔を見る しみじみ思い出を語る
しみじみとした風情 しみじみとした琴の音 しみじみ親をありがたく思う
<熟・染・沁の漢字>
「つくづく」は「熟熟」「熟く熟く」と書く場合があります。
「しみじみ」は「染み染み」「沁み沁み」と書く場合があります。
「熟」
字義は「にる・にえる」「みのる・うれる」「なれる・ならす」「完全」「つらつら・つくづく」です。
解字では、「(火)?+孰」で構成されます。
「孰・じゅく」の部分は「よく煮込む」を表します。
「孰」が疑問の意味を表すようになったので、「(火)?」を付して区別するようになりました。
「染」
字義は「そめる」「そまる」「しみ・けがれ」です。
解字では、「氿+木」で構成されます。
「氿・き」の部分は「穴から湧き出る泉」を表します。
これにより「樹液などで染める」を意味します。
「沁・しん」
字義は「しみる」「ひたす」「さぐる」「川の名前・沁川」です。
解字では、「水+心」で構成されます。
「心」の部分は「侵」に通じ、「深く次第に入る」を表します。
これにより「水がしみこむ」を意味します。
「つくづく」は 深く感ずるさま、「しみじみ」は 深く心にしみるさまです。
「つくづく」「しみじみ」は、類語です。
共通する意味は「深く心に感じるさま」です。
「つくづく」は、通常、「考える」「眺める」などの行為を表す語と共に用いられます。
「つくづく思うに~」という言い方は、「よくよく思えばやはりそうなんだ」という気持ちを表します。
「つくづく嫌になる」は、何回も嫌になるような事柄があって最終的に心の底から嫌になった状態を表します。
「しみじみ」には、「しみじみとした~」の形がありますが、「つくづく」にはありません。
この点から、「しみじみ」は、「しみじみとした気持ちで」という状態を表します。
これは、心にしみる哀感を伴うものです。