「臭い」は、基本的に、好ましくない臭いに使用されます。
「くさい香り」「臭気」のことです。
「すえた臭いが漂う」のように使われます。
しかし、「匂い」で表されることもあります。
「匂い」は、一般的には、「かおり」「香気」のことです。
「香ばしき匂い」「香水の匂い」のように使います。
「香り」は、「良い匂い」のことです。
「梅の良い香り」のように使います。
また、「優れた独特の雰囲気」という意味もあります。
「文化の香り漂う街」のように使います
「臭い」の意味
「臭い」は、基本的に、「好ましくない臭い」を表すときに使用されます。
しかし、以下の二例は「臭い」、または、「匂い」が使われます。
①そのものから発散されて嗅覚を刺激するものを表します。
「香水のにおい」「薬品のにおい」「魚を焼くにおい」のように使います。
②そのものが醸し出す雰囲気のことです。
「いかにもそれらしい気配やおもむき」という意味です。
「下町のにおいがする」のように使います。
「好ましくない臭い」を表す場合、「そのものが持つ雰囲気」「それらしい感じ」を表す場合は、主に「臭い」を使います。
「庶民的な臭い」「犯罪の臭い」のように使います。
英訳では、「A stench」と訳されます。
「匂い」の意味
「匂い」は、科学的には、有臭物質の分子が鼻の中の嗅受容体を刺激することによって感じる感覚体験をいいます。
嗅覚のことです。
古典では、鮮やかな色が美しく映えることをいいます。
万葉集(10)には、「黄葉(もみちば)の匂は繁し」とあります。
また、「華やかなこと」や「つややかなこと」を表します。
万葉集(18)には、「少女らがゑまひの匂」とあります。
さらに、「光」「威光」を表します。
源氏物語(椎本)には、「つかさ位世の中の匂ひも・・」とあります。
また、「人柄」「おもむき」「気品」を表します。
源氏物語(幻)には、「かどかどしう、らうらうじう、匂ひ多かりし心ざま・・・」とあります。
同色の濃淡による「ぼかし」という意味もあります。
芸能や和歌・俳諧などでは、そのものに漂う雰囲気・情趣・余情などを言います。
去来妙には、「移り、匂い、響きはつけざまの塩梅なり」とあります。
一般的には、「かおり」「香気」のことです。
「香ばしき匂い」「香水の匂い」「匂油」「匂玉」「匂付」「匂墨」「匂草」「匂袋」などのように使います。
英訳では、「A smell/ an odor/ a scent/ fragrance」のように訳します。
「香り」の意味
「香り」は、「良い匂い」のことです。
「香水の香り」「香りの高い花」「香りたばこ」「香り松茸、味シメジ」のように使います。
また、「優れた特性の雰囲気」もさします。
「文化の香り漂う街」のように使います
古典では、「良い匂い」や「香・か」を意味します。
源氏物語(花散里)には、「近き橘の香り、なつかしうにほひて」とあります。
また、「つややかな美しさ」を表します。
源氏物語(総角)には、「人の御けはひ、思ふやうに香りをかしげなり」とあります。
芸術などに於いては、「なんとなく感じられる感じ」を表します。
「文化の香りが高い」のように使われます。
英訳では、「Fragrance/ a scent/ perfume/ aroma/ bouquet」と訳します。
「臭い」は臭気、「匂い」は香気、「香り」は「つややかな匂い」
「臭い」は、「くさい香り」「臭気」のことです。
「すえた臭い」を表します。
基本的には、好ましくない臭いに「臭い」は使用されます。
しかし、多くの場合「匂い」で代用されます。
「匂い」は、一般的には、「かおり」「香気」のことです。
「香ばしき匂い」「香水の匂い」のように「好ましい香り」に使われます。
「香り」は、「良い匂い」のことです。
古代から「つややかな美しさ」をイメージさせる「匂い」を表します。