「猫ばば」は、悪行をして知らん顔をすること、または、拾ったものを黙って自分の物にしてしまうことです。
「彼は拾った金を猫ばばした」は「He pocketed the money he had found.」です。
「着服」は、他人の金品をごまかして密かに我が物とすることです。
英語では「embezzle」「embezzlement」で表されます。
「彼は利益の大半を着服した」は「He embezzled most of the profit.」です。
「横領」は、他人の物、または、公共の物を不法に奪うことです。
英語では「embezzlement」「misappropriation」で表されます。
「公金横領」は「embezzlement of public money」「misappropriation of public money」です。
「猫ばば」の意味
「猫ばば」は、猫が脱糞後脚で砂をかけ糞を隠すことから、悪行をして知らん顔をすることをいいます。
特に、落とし物などをそのまま自分の物にしてしまうことなどを指します。
浮世床(初)に「五日ばかり過ぎたら帰さうという筈が、今日で一月になるが猫ばばさ」とあります。
以下のように使います。
落とし物を猫ばばする
猫ばばをきめこむ
拾った財布を猫ばばする
「着服」の意味
「着服」は、以下のような意味です。
①衣服を身につけることです。
②他人の金品をごまかして密かにわが物とすることです。
東海道中膝栗毛(5)に「手早くかの三百文を着服して」とあります。
以下のように使います。
落とし物を着服する 公金を着服する
売上金を着服する
<服の漢字>
字義は「きもの」「きる」「身につけて使う」「心につけて離さない」「のむ」「したがう」「つとめる」「ならう」「周代の区域のこと」「喪服」「車を引く馬のこと」「牛馬を車につける」「えびら・矢を入れる物」「一度に飲む薬の量」です。
解字に於いて、「服」の「へんの部分の月」は「舟月・ふなつき」と呼ばれるものです。
「月・日」を意味する「月へん」や「肉月」と呼ばれる「肉」が「月へん」になったものとは成り立ちを異にします。
「服」の「舟月」の部分は「舟」を表します。
「服」の右の部分は「つける・従がえる」を表します。
これら二つの要素から、「服」は「舟の両側に付けるそえ板」を表します。
転じて、「身につける」を意味するようになりました。
「横領」の意味
「横領」は、「押領」から転じてできた言葉です。
他人の物、または、公共の物を不法に奪うことです。
「横取り」のことです。
曽我物語(1)に「先祖の重代の所領を横領つかまつること」とあります。
以下のように使います。
公金を横領する 財産を横領する
横領罪
<横領の関連語>
「横取り」は、他人のものをわきから奪うことです。
「財産を横取りされた」「兄にケーキを横取りされた」のように使います。
「くすねる」は、小さいもの、少額なものをこっそり持ち出して、自分の物にすることです。
やや俗な言い方です。
「喫茶店の灰皿をくすねる」「お釣りをくすねる」のように使います。
「猫ばば」は 悪行をして知らん顔をすること、または、拾ったものを黙って自分の物にしてしまうこと
「着服」は 他人の金品をごまかして密かに我が物とすることです。
「横領」は 、他人の物、または、公共の物を不法に奪うことです。
「猫ばば」「着服」「横領」「失敬」は、類語です。
「横取り」「くすねる」は、これらの言葉の関連語です。
共通する意味は「金品などを不当に自分の物にすること」です。
「猫ばば」は、拾ったものなどを警察に届たり、落とした人に返したりしないで自分の物にすることです。
俗な言い方です。
「着服」は、組織が扱う物、特に金に手を付けこっそりと自分の物にすることをいいます。
文章語です。
「横領」も「着服」と同じく、組織や他人の金品を自分の物にすることです。
その額の大きいものが対象となります。
「失敬」は、他人のものを黙って借りたり使ったり盗んだりすることです。
軽い気持ちで行うことです。
多くの場合、罪の意識はあまりありません。