「全く」は、打消しの語を伴って完全に否定する意味を表します。
「全然」「まるっきり」という意味です。
英語では「entirely」「utterly」「absolutely」などで表されます。
「全く話になりません」は「It is entirely out of the question.」「It is too absurd for words.」です。
Absurd・・・「ばかげた」「ばかばかしさ」という意味です。
「全然」は、下に否定的な表現を伴って、全面的な比定を表します。
「まったく」「まるで」という意味です。
英語では「at all」「entirely」「absolutely」などで表されます。
「さっぱり」は、打消しを伴って「一度もないさま」を表します。
「少しも」「全然」という意味です。
英語では、打消しを伴って「simply」を用います。
「さっぱり思い出せない」は「I simply can’t remember.」です。
「全く駄目だ」は「be simply awful」です。
「全く」の意味
「全く」は、以下のような意味です。
①「ことごとく」「すべて」という意味です。
②「実に」「まことに」という意味です。
③下に打ち消しを伴って「決して」「全然」という意味です。
平家物語(7)に「是は全く私の火にはあらず、神火なり」とあります。
④「~の」「~だ」の形で用いて、「まこと」「本当」という意味です。
以下のように使います。
彼の行方は全くわからない
その小説は全く好きになれない
春になっても全く暖かくならない
彼のジョークは全く面白くない
「全然」の意味
「全然」は、以下のような意味です。
①全くそのとおりであるさまです。
すべてにわたるさまです。
②下に否定的な表現を伴って、全面的な比定を表します。
「意味が全然解らない」のように、「ちっとも」「まったく」「まるで」という意味です。
③「全然同感です」のように、肯定文でも使います。
「全く」「非常に」という意味です。
④「こっちの方が全然大きい」のように、程度の差が明らかであるさまです。
以下のように使います。
その話は全然聞いたことがない
彼女からは全然連絡がない
春になっても全然暖かくならない
彼のジョークは全然面白くない
「さっぱり」の意味
「さっぱり」以下のような意味です。
①汚れや余分なものがなく、清潔でさわやかなさまです。
「清らかなさま」です。
狂言・呂蓮に「私もさっぱりと致いて能い気味でござる」とあります。
②しつこさや嫌みがないさまです。
「あっさりしたさま」です。
③「あとを残さないさま」「きれいさっぱりしたさま」です。
狂言・胸突に「それならばさっぱりと元利ともに其方へおまするぞ」とあります。
④「全く」「まるで」という意味です。
多くの場合、下に打ち消しの語を伴います。
⑤「~だ」の形で用いる場合、「景気はさっぱりだ」のように、「全然だめだ」という意味を表します。
以下のように使います。
ゆうべのことはさっぱり覚えていない
いくら待っても客がさっぱりこない
春になってもさっぱり暖かくならない
彼のジョークはさっぱり面白くない
下に否定語を伴った場合、「全く」は「全然」「まるっきり」という意味、「全然」は「まったく」「まるで」という意味、「さっぱり」は「少しも」「全然」という意味
「全く」「全然」「さっぱり」「まるきり」「まるで」「少しも」「一向に」は類語です。
「からっきし」「ちっとも」「皆目」「一切」「まるっきり」「何ら」はこれらの言葉の関連語です。
共通する意味は「否定表現で用いられ、強く打ち消すことを表す言葉です。
「全く」と「全然」は、打消しを強調する意味で広く用いられます。
「全く」と「全然」では、「全然」の方がくだけた表現です。
また、「全く」は、「全く面白い」のように肯定文でも使います。
一方、「全然」は通常、否定形と呼応して使います。
しかし、「全然いい」のように肯定的な意味として使う場合もあります。
「さっぱり」は、「完全にあとかたもなく」という意味です。
また、「期待通りにならない」という意味もあります。