10世紀末、歴史的仮名遣いで「お」と「を」は発音上も文字上も区別されていたが、11世紀初め頃から「お」と「を」の混同が見られ、「お」と「を」は同じ発音になってしまった。
しかし「お」と「を」の区別を失っても意味の読み取りに大した影響はなかった。
現在「を」は助詞として残り、「お」と「を」は両方「お」と発音する。
「お」と「を」が区別されていた時代
10世紀末まで、「降る」は「おる」、「折る」は「をる」と発音され、「お」と「を」を書き分けていた。
歴史的仮名遣いできちんと区別がなされていた。
「お」と「を」が混同し始めた時代
11世紀初め頃になると、「治む」は本来「をさむ」と書くのに、「おさむ」としたり、「起こる」を「おこる」ではなく「をこる」とした文献が見られるようになる。
「お」と「を」の区別があやふやになってしまったようだ。
現在の「お」と「を」
昭和時代に「を」の発音は「お」と統一されたのにもかかわらず、「を」が廃ることなく残っているのは「を」が助詞専用の仮名になったことによる。
「ゐ」や「ゑ」がほとんど使われなくなった一方、「を」が使われ続けている事実は日本固有の文字、「仮名」の歴史を物語っている。
「お」と「を」は結局何が違うのか
小さい頃ひらがなを習って、「お」と「を」の使い方に戸惑った覚えはないだろうか。
五十音図で唯一同じ発音の「お」と「を」にはどんな歴史と違いがあったのかを説明する。