この二つの言葉はともに、「目的を達成するためのやり方。

手だて」という意味ですが、用法にやや違いがあります。

「手段」は、具体的な「手立て」に重点があり、「方法」は抽象的な「考え方」や「手順」に重点があります。

例えば、「連絡の手段」という場合、「電話によって」「手紙によって」「直接会って」などという具体策を問題にしていますが、「連絡の方法」という場合は、「誰が」「いつ」「どのように」など連絡の仕方全般を問題にしています。

「手段」の意味

「手段」は、「目的を達するためのやり方。

手だて」という意味です。

目的を達成するための行動の内容のことで、それに必要なものを具体的に指します。

類語には「仕方」「方法」などがあります。

「通勤の手段」という場合、「手段」は「通勤という行動のための具体的道具」という意味を表しているので、バスや電車のような「交通機関を」指すことになります。

「方法」の意味

「方法」は、「目的を達成するためのやり方。

手だて」「目的を達成するための計画的措置」のことです。

目的を達成するために行う行動の内容と、その行動を実行するために必要なものを具体的に指します
「方法」の類語には、「仕方」「手段」があります。

関連語には、「やり方」「仕様」「やり口」「メソッド」
「方式」などがあります。

「通勤の仕方」とは、家を出てから目的地に着くまでの全ての行動が含まれます。

「通勤の方法」という場合は、「通勤の仕方」よりも「きちんと理屈が通った体系的方式」という意味です。

さらに、哲学に於いて、「方法」とは「目的である知識を得るための思考が、踏むべき道筋を体系立てたもの」を意味します。

「手段」と「方法」の用途

◇手段

「目的には手段を択ばない」「調査の手段を検討する」「最後の手段に訴える」「不当な手段で得た金」
「積極的に手段を講じる」「手段を誤る」
「有効な手段」「非常手段」「常套手段」

◇方法

「うまくできる方法が解らない」
「発声の方法」「方法論を述べる」
「会社再建の方法」「方法に問題がある」
「最善の方法」「説明する方法」

まとめ・「手」と「方」

◇手
「手」という漢字は、象形文字です。

五本の指を表しています。

この文字は動詞の上について手に関する動作であることを強調する働きがあります。

「手」の字義の一つに、「手ずから」「自ら」「自分で直接」という意味がります。

この時、「方法」「策略」という意味も含まれます。

◇方
「方」という漢字は、象形文字です。

両方に突き出た柄のある「鋤・すき」の象形で、並んで耕す様を表しています。

もともとは「並んで作業する」という意味だったものが、派生して「方向」や「行き先」「技・わざ」「角」「四角形のもの」のように様々な意味を含むようになりました。

字義の一つに、「てだて」「やりかた」「方法」という意味があります。

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