足りないは「足りるという動詞を否定形で言った言葉のこと」。

「現代的表現」と言い換えると分かりやすい。

足らないは「足るという動詞を否定形で言った言葉のこと」。

「古典的表現」と言い換えると分かりやすい。

足りないも足らないも意味は同じですが、足りるは現代的な言い方であるの、足るという言葉は古典的な言い方であるため、足らないは足りないよりは使われにくい言葉です。

「足りない」は「足りる」の否定形

「足りない」は「足りる」という動詞の上一段活用で否定形になります。
上一段活用は未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形と変化するもので、否定形は未然形に「ない」という否定語が付いたものになります。

ラ行の他の動詞では「降りる」「下りる」などがあり、「足りる」と同様に「降りない」「下りない」と変化します。

また、「足りない」は「足りん」「足りねえ」なども地域により言うこともあります。

「足らない」は「足る」の否定形

「足らない」」は「足る」という古語の動詞の否定形になります。
「足る」は五段活用になり、ラ行未然形では、「ら」、連用形では「り」、終止形では「る」、連体形では「る」、仮定形では「れ」、命令形では「れ」と活用されます。

否定語の「ず」が付く場合、「足らず」とはなっても「足りず」とは余り言わないようです。

「舌足らず」とはいっても「舌足りず」とは言いません。

「ず」が古語のため古語の「足る」の方に付くのがシックリするためと思われます。

「足らない」も「足りない」も同義語

「足らない」も「足りない」も同義語になります。
「足りない」の方が近代になり使われたということもあり、「足らない」という言い方は「足りない」に押され気味です。

現代語としては「足りない」を使う方が無難でしょう。

「足らない」は「足りぬ」と言い、昔はそのように言っていたのですが、関東に入り「足りない」が標準的に使用されるようになったものです。

言葉は「足らない」から「足りない」に変化する。

古語である「足る」が元になっている「足らない」という言葉は、現代にはふさわしくないように感じます。

「足りる」が元になっている「足りない」は現代では普通に使用されています。

「足る」の未然形に「ず」という否定語を付けた場合は、「足らず」となりシックリしますが「足りる」では現代語+古語で「足りず」となり「寸足りず」など違和感が生じます。

古語+古語で「寸足らず」のように使います。

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