「茶室」と「数寄屋」の違い・意味と使い方・由来や例文

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「茶室」は、茶事・茶会に用いる室のことです。

英語では「a tea ceremony room」「a tea arbor」で表されます。

「arbor」は、「あずまや」「亭」のことです。

「数寄屋」は、茶室・茶席・勝手・水屋などが一棟に備わった建物のことです。

英語では「a tea-ceremony pavilion」で表されます。

「数寄屋造の建物」は「a house in the style of a tea-ceremony pavilion」です。

「数寄屋造の」は「built in the style of a tea-ceremony room」です。

「茶室」の意味

「茶室」は、茶事・茶会に用いる室のことです。

古くは「茶の湯座敷」「数寄屋」「囲い」などと呼びました。

「茶室」と呼ぶようになったのは、江戸時代以降のことです。

草庵茶室と書院茶室に大別されます。

四畳半を基本とし、三畳や二畳のもの、あるいは、台目畳を置いて最小の一畳目のものもあります。

四畳半以下を「小間」それ以上を「広間」と呼びます。

四畳半はその両方を兼ねます。

「茶席」とも呼びます。

以下のように使います。

自宅に茶室を造る 利休好みの茶室
茶室の躙り口は狭い

「数寄屋」の意味

「数寄屋」は、以下のような意味です。

①茶室・茶席・勝手・水屋などが一棟に備わった建物のことです。

②茶室風の建物を指します。

庭園の中に建てた別棟の茶室のことです。

③障子に張る美濃紙の称です。

以下のように使います。

数寄屋下駄 数寄屋足袋 数寄屋坊主
数寄屋造 数寄屋を建てる

<数寄屋下駄・数寄屋足袋>
「数寄屋下駄」は、数寄屋に用いる下駄のことです。

「数寄屋足袋」は、木綿足袋の別称です。

皮の足袋を茶席では用いなかったことから、このように呼ばれました。

有名な茶室

<待庵・たいあん>
天正年間、1573~92年ごろ、京都府乙訓郡大山崎町の妙喜庵に建てられた茶室です。

千利休好みの草庵茶室として有名です。

現存する茶室のうち最古のものと考えられています。

?(こけら)ぶきの切妻造りで、南側の妻に土庇(どびさし)を設けています。

妙喜庵の書院縁側から延段(のべだん)を経て土庇までの空間が路地を形成し、土庇のたたきには「躙り口・にじりぐち」へと続く飛び石を置いています。

国宝です。

<如庵・じょあん>
江戸時代初期に建造された茶室です。

1618年(元和4年)に、織田有楽斎によって、京都建仁寺内の正伝院の隠居所に建てられました。

有楽斎好みの草庵風茶室として名高く、「有楽窓」や「暦張りの席」が有名です。

建築以来数回移築され、明治に三井家所有となり、現在では、名古屋鉄道所有となって、愛知県犬山市の有楽苑にあります。

国宝です。

「茶室」は、 茶事・茶会に用いる室のこと
「数寄屋」は、 茶室・茶席・勝手・水屋などが一棟に備わった建物のことです。

「茶室」「数寄屋」は、類語です。

共通する意味は「茶の湯のための建物」です。

「茶室」は、茶の湯のための部屋です。

または、建物を指します。

「数寄屋」は、茶の湯のための小さな離れの建物をいいます。

普通、茶席・勝手・水屋などが備わっています。

「茶室」は、初め広間を屏風で囲っていたものが、村田珠光以降は部屋として独立しました。

足利義政の東求堂同仁斎が最初と云われます。

四畳半の書院風であったのが、千利休によって草庵風なものとなりました。

代表的なものに「待庵」「如庵」などがあります。

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