「ミツバチ」はハチ目ミツバチ科に属する昆虫で、ハチの仲間です。
集団生活をし、自身の身や巣を守るための武器として針を持ちます。
「ハナアブ」はハエ目ハナアブ科に属する昆虫で、ハエの仲間です。
集団生活はせず、針を持ちません。
ハチの仲間、「ミツバチ」
「ミツバチ」は、生物学や農学ではもちろん社会学でも研究対象として取り上げられる「社会性昆虫」として知られています。
他のハチがそうであるように針を持ち、巣を攻撃するものがあれば針を刺して攻撃します。
ただミツバチは針を防御のために使う傾向が強く、この点はスズメバチや狩人バチのように自発的に針を使って攻撃するハチとは異なります。
翅は左右2対、計4枚です。
口はストロー状で、吸い取った花の蜜は巣で吐き出し、貯めていきます。
ハエの仲間、「ハナアブ」
「ハナアブ」はハエの仲間で、単独で生活します。
その色目のためにハチの仲間と誤解されますが針は持たず、外敵に会っても反撃手段は何もありません。
翅は左右1対で計2枚です。
口は舐めるのに適した形状で、花の蜜や花粉を舐めて養分を得ます。
「ミツバチ」と「ハナアブ」の見分け方
まず大前提として「慌てずによく見ること」が必要です。
黒と黄色の体色というのはほとんど人間の本能からくる反応として警戒してしまうものですが、針を持たない「ハナアブ」はもちろん、それに似ている「ミツバチ」も、じっと見られたからと言って攻撃してくることはまずありません。
冬の初めなど気温の低い時期には巣から離れたらしい「ミツバチ」を見かけることがあるますが、指につかまらせてやるとじっくり観察することができます(あくまでも「ミツバチ」の特徴です。
スズメバチは秋口になるとたまたま巣に近づいただけでも攻撃してきます。
また、「ミツバチ」もいきなり握ったりすればさすがに刺します)。
落ち着いて見れば、「ミツバチ」と「ハナアブ」は簡単に見分けられます。
「ハナアブ」は目(複眼)が顔全体に及ぶほど大きく、腰の可動域が狭いため一枚板に羽が付いて飛んでいるイメージです。
「ミツバチ」は目(複眼)がそれほど大きくなく、球が二つくっついて飛んでいるようなイメージです。
戦うすべを持った「ミツバチ」、ハチの威を借る「ハナアブ」
それぞれがなぜ絶滅せずに現代まで生き残ってこれたのか、という観点から言えば、社会的生活を営みこれを武器を以て守ることで生き抜いてきたのが「ミツバチ」、たまたま姿がハチに似ていることで外敵からの攻撃を受けにくく、そのおかげで生きてこられたのが「ハナアブ」ということになります。
「ハナアブ」のこの特徴を「擬態」と言います。
「強いものに似る」ということが生きていく上での唯一の武器であり、逆に言うと正体を見破ってしまえば何も怖がる必要はないということです。
焦って払いのけたりせず、落ち着いて見分けましょう。