「お岩さん」と「お菊さん」の違い・意味と使い方・使い分け

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お岩さんは「四谷怪談」の登場人物です。

不貞を働いた夫によって顔のただれる薬を飲まされたことが原因で死に至り、その復讐の為に恐ろしい顔の幽霊となった、という話が有名です。

お菊さんは「皿屋敷」の登場人物です。

自分が管理していた大切な十枚のお皿のうち一枚を失くしてしまったことが原因で井戸に身を投げ、夜な夜な皿の枚数を数える幽霊となった、という話が有名です。

「お岩さん」について

お岩さんは「四谷怪談」の登場人物です。

「東海道四谷怪談」という狂言が有名ですが、それ以前から存在した怪談です。

東海道四谷怪談では、お岩さんの夫が不貞をはたらいた末に、邪魔になったお岩さんを謀殺するため、顔がただれる薬を飲ませています。

そのため、お岩さんは顔が崩れた恐ろしい容貌の幽霊として描かれています。

その他にもいくつかの文献にお岩さんの怪談が記されており、細部はそれぞれ異なりますが、お岩さんの夫が不貞をはたらいたことと、お岩さんがそれを恨んで夫やその家系に害をなす亡霊として描かれていることは、おおよそ共通しています。

「お菊さん」について

お菊さんは「皿屋敷」の登場人物です。

姫路を舞台とした「播州皿屋敷」や、東京を舞台とした「番町皿屋敷」などが有名ですが、同じような話が全国各地で伝わっており、その発祥ははっきりしていません。

播州皿屋敷は、悪だくみを耳にしてしまったお菊さんが、口封じのために謀殺されるお話です。

お菊さんが管理していた10枚の皿のうち1枚を隠され、お菊さんはその紛失の責任を押し付けられて手討ちにされた末、遺体を井戸に捨てられてしまいます。

番町皿屋敷は、お菊さんが管理していた10枚の皿のうち1枚を自ら割ってしまい、その責任を問われて投獄されたお菊さんが井戸に身投げしてしまいます。

いずれにせよ、お菊さんは遺体の落ちた井戸から幽霊として現れ、皿の枚数を数えては一枚足りないと嘆く、という点は共通しています。

「お岩さん」と「お菊さん」の大きな違い

四谷怪談に共通しているのは、お岩さんが不貞を働いた夫に裏切られている点です。

そのため、お岩さんは明確に夫という個人への恨みを持った幽霊だと言えます。

一方、皿屋敷では、お菊さんが10枚の皿のうち1枚を紛失あるいは壊してしまったことは共通していますが、それはお菊さんの過失であったり他者の謀であったりまちまちですし、謀られた場合もお菊さんがそうだと知っていたとは限りません。

そのため、お菊さんはお皿が足りなくなったことを嘆いている幽霊であり、本人が特定個人への恨みを抱いているわけではないと考えられます。

つまり、お岩さんは恨みを、お菊さんは未練を抱いた幽霊であると言えるでしょう。

「お岩さん」と「お菊さん」についてのまとめ

お岩さんは四谷怪談に登場する、夫への恨みを抱いた幽霊で、夫に飲まされた薬によって醜くただれた顔が特徴です。

お菊さんは皿屋敷に登場する、10枚の皿のうち1枚を失ったことへの未練を抱いた幽霊で、井戸の中で皿の枚数を数える声が特徴です。

どちらも怪談に登場する幽霊として有名ですが、その由来、特徴、この世に抱いた思いまで、全く異なる二人です。

祟られないためにも、しっかりと区別して覚えましょう。

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