「丁重」とは「鄭重」とも書き、相手に対し礼儀正しく接するさまを言います。
似た言葉に「丁寧」があり、どちらも相手の立場や心情を考えて礼儀正しく細やかな心遣いをするさまが共通していますが、「丁寧」の方は、動作に焦点があり、動作をひとつひとつ念入りに、いいかげんにせず、手を抜かずに行う様子を言うのに対し、「丁重」の方は礼儀正しさという相手への接し方に焦点があると言えるかもしれません。
また、関連語に「慇懃」があります。
「丁重」の意味
「丁重」は礼儀正しく手厚いこと、注意が行き届いていて丁寧なこと。
「丁重」は、礼儀正しく人に接するその接し方や態度をあらわす一方、類語である「丁寧」により近い意味でも使われると考えられます。
「丁重」と「丁寧」はいずれも形容動詞となっていますが、用法から考えると、「丁重」は動詞に対する副詞的な用法、「丁寧」は名詞に対する形容詞的な用法で用いられるという感覚が、比較的ですが、あるかもしれません。
「丁重」の使い方
「丁重」の使い方としては、「丁寧」が名詞を修飾する用法が比較的多いのに対し、「丁重」の方は動詞を修飾する用法が多いこと、「丁寧」により近い意味で使われることもあるが、基本的には、礼儀正しさや相手への心遣いといったニュアンスが盛り込まれ、相手方として人の存在があるようなシチュエーションでの使われ方をすることがそのポイントと言えるでしょう。
「壊れ物を丁重に扱う」と、言えなくもないのですが、「丁重」は物に対してというよりは人に対して使われた方がよりしっくりき、物に対しては「壊れ物を丁寧に扱う」と言った方がより自然です。
「丁重」の例文
「丁重にお断りした」これは日常生活の中でわりとよく使われる例ではないでしょうか。
相手の心に添うことができない心苦しさ、拒否はするが相手をできるだけ立てたい気持ちをあらわすのにぴったりの表現です。
「丁重な挨拶を受けた」「丁重」は否定的なシチュエーションにだけ使われるとは限りません。
「丁寧」な挨拶と言った場合よりも、礼儀正しさ、相手への心遣いといったニュアンスが感じられます。
「丁重」の意味と使い方のまとめ
以上、「丁重」について、その意味としては、相手に対し礼儀正しく接する様であること、「丁寧」により近い意味で使われることもあるが、使い方としては、礼儀正しさや相手への心遣いといったニュアンスが盛り込まれ、物というよりは相手方としての人の存在を前提としたシチュエーションで使われるものであることを、類語である「丁寧」と比較しながら述べてきました。
「丁重」と「丁寧」を正しく使い分けられるようにしたいものです。