女性天皇とは文字どおり女性の天皇のことで、歴史上複数実在しました。
女系天皇はある概念の呼び名で実在しません。
父方の先祖を全て父方にたどると(当然男性の)天皇に行き当たるような人物が男系子孫ですが、途中母方をたどらないと行き当たらない人物がもし天皇になった場合を女系天皇と称するのです。
あるいは母のみが皇統に属する仮想の「天皇」の事をそう呼びます。
「女性天皇」の意味
文字通り女性の天皇のことです。
歴史上10代存在しました。
そのうち第35代皇極天皇と第37代斉明天皇、並びに第46代孝謙天皇と第48代称徳天皇はそれぞれ同一人物ですので、人数でいうと8人です。
女性天皇は次期天皇が決まらないとか、世継ぎ候補が著しく幼少で有るとかいった場合に即位しました。
女性天皇自身は全て天皇の男系の子孫、即ち父方の先祖を全て父方にたどると(当然男性の)天皇に行き当たるような血統の人物であるとされます。
女性天皇の子は皇位継承権を持たないので、女性天皇は「ピンチヒッター」と、例えられることもあります。
「女系天皇」の意味
女系天皇とは実際のこれまでの天皇が男系であったのに対し、家系をさかのぼる途中で母方をたどらないと過去の天皇に行き当たらない人物か仮に天皇になった場合の呼び名です。
実際は母のみが皇統に属する天皇を想定してそう呼ぶ場合がほとんどです。
実在はしません(少なくとも今のところ)。
つまり「女系天皇」が仮にできたとして、その人の父方の先祖を全て父方にいくらたどっても天皇に行き当たらないことになります。
実際のこれまでの歴代天皇を継いだのは男系子孫で原則男子、例外的に男系の女子でした。
なお現在の皇室典範では、天皇を継げるのは男系男子のみです。
「女性天皇」と「女系天皇」の用法と用例
女性天皇は実在したので、普通に次のように使います。
「女性天皇は過去に10代8方実在しました。
(2方は重祚)」など。
「女系天皇」は実在せず、主に皇位の安定的継承を計る議論の中で使われる言葉です。
将来の制度変更によりできるかもしれないものの呼び名とも言えます。
例えば次のように使います。
「将来の安定的な皇位継承のために、皇室典範を改正して、女系天皇を容認すべきだと思います。」
など。
言葉は似ているけど「女性天皇」と「女系天皇」は大違い。
「女性天皇」と「女系天皇」という言葉は大変似ています。
また、現在の皇室典範という法律には、皇位継承者は「男系男子」とあるので、改正されない限りは今後「女性天皇」も「女系天皇」ありえないという所は共通です。
しかし、過去を見ると女性天皇は例があるのに対し、女系天皇と呼べるような存在は例がなく「女系天皇」は概念の呼び名でしかありません。
つまり全く異質の言葉なのです。
仮に法改正したとして、男系の「女性天皇」ができても、歴史上先例があるわけですが、いわゆる「女系天皇」は長い皇室の歴史上例がないと言えます。