夏に池などの水辺で美しい花を咲かせるものに、「ハス」と「スイレン」があります。
漢字で書くと「蓮」と「睡蓮」であることから、同じ植物だと誤解している人が少なくありません。
確かに似たイメージがありますが、この2つの花は全く違う植物です。
なお、ハスとスイレンの見分け方は簡単で、水面から高く浮いているのがハスで、水面に浮かんでいるのがスイレンです。
ハスとは
「ハス」は、ハス科ハス属に分類される、インド原産の多年草です。
仏教に関する絵に描かれているのがハスです。
ハスには茎があり、花も葉も水面より高い位置にあるのが特徴です。
葉は光沢がありません。
花が咲き終わると花びらが散り、散った後に果托ができます。
果托の中で種が育っていきます。
なお、根はご存じのレンコンとなり食べることができます。
スイレンとは
「スイレン」は、スイレン科スイレン属の多年草で、アジアを中心に広く分布しています。
フランスの有名な画家モネの代表作の絵にもなっています。
光沢のある葉とともに水面に浮かんでいるかのような形で花が咲きます。
つぼみが開くと3日間、朝に咲いて夜に閉じるということを繰り返し、3日目以降は開かずにそのまま水の中に沈んでいきます。
名前の由来
スイレン(睡蓮)は、日差しが弱くなって花が閉じていく姿が、あたかも眠るように見えることから、「睡」の字が付けられました。
ハス(蓮)は、花が散った後の果托が蜂の巣に似ていることから、ハチの巣→ハチス→ハスと呼ばれるようになります。
ちなみに、お釈迦様などの仏像が座っている台座は、ハスの花をデザインして作られています。
どちらも有名な花
ハスとスイレンは、水面からの花の位置で見分けることができます。
水面から出て美しい花を咲かせるハスを、仏教では宇宙に初めて生まれた生命としてあがめています。
例えば、大賀ハスは2000年以上前の地層に埋まっていた種から発芽したものです。
一方、スイレンの葉は2~3mになるものもあり、子供が乗っている映像がテレビで映されることがあります。