「重さ」は、物質そのものの重量というよりは物質にかかっている重力の量のことを言います。
そのため、重力の異なる環境では数値が変化します。
物質そのものの重量のことは「質量」と言い、「質量」はどこで量っても変わりません。
「重さ」の量り方
分かりやすい道具としては、体重計があります。
自分の体の「重さ」がどれくらいか=自分にどれくらいの重力がかかっているかを知りたければ、体重計に乗ってみれはいいのです。
体重計に自分(という物質)が乗り切った瞬間、体にかかるすべての重力が体重計に伝わり、その数値が表示されます。
その表示された数値が、「重さ」です。
「重さ」は、環境によって変わります。
例えば重力が地球の6分の1といわれる月では、体重計に乗った時に表示される数値が地球の時と比べて6分の1になります。
「質量」の量り方
分かりやすい道具としては、天秤があります。
右側の皿に物を載せた後、予め質量が分かっている物を、左右の皿が釣り合うように左の皿に載せていきます。
そして左右の皿がちょうど釣り合ったときに左側の皿に載っている物の重量、それが右側の皿に載っている物の「質量」です。
「質量」は、環境によって変わることはありません。
天秤の皿それぞれを見れば、皿に載せられた物にかかる重力は環境によって変わりますが、その影響は左右どちらの皿についても同じなわけであり、つまり同じ条件下での「重さ比べ」の結果導かれるのが「質量」なのです。
「重さ」と「質量」を区別する必要性
「質量」は、どのような環境でも変わらないことから「物質が持つ性質の一つ」と言うことができます。
例えばあなたがある物質についてその正体を見極めるよう言われたとして、あなたはその物質について様々な性質を調べ、同一性の高い物質を探そうとするはずです。
その過程で、環境によって変化する「重さ」は果たして参考になるでしょうか。
実は地球上であっても、緯度や高度によってわずかながら「重さ」は変化します。
場合によっては「他の全ての性質が〇〇という物質と一致するのに、「重さ」だけが違う」ということにもなりかねません。
物質そのものの性質、という観点からすれば、やはり重量に関しては「重さ」より「質量」を重視する方がよさそうです。
「重さ」と「質量」の違いを気にしてみよう
実際のところ、地球上で生活する限りは「重さ」と「質量」の違いを気にする必要はありません。
自分の体重を天秤で量る必要はありませんし、「重さ」を「質量」に変えたところで荷物が軽くなることもありません。
その使い分けにこだわらなけらばならないのは、科学者などの限られた人たちだけです。
(科学者たちの研究の成果が人の生活に恩恵を与えている、という意味では、「重さ」と「質量」の使い分けが一般の人々の生活に影響を及ぼしている、という言い方はできるかもしれませんが)
ただ、将来月面に人が住む時代が来たとして、地球の人が月の人に料理を教えるときは注意が必要です。
材料の量を「重さ」で伝えるとどうなるか、です。
砂糖と塩の量の比率は地球でも月でも変わりませんから、味に関してはどちらも同じに仕上がるでしょう。
ただし、月では出来上がる量(かさ・容量)が6倍になります。