「王将」と「玉将」の違い・意味と使い方・使い分け

B!

将棋の大将格の駒は、「王将」です。

相手に攻められて動けなくなると負けとなります。

この駒と対になる駒は、「玉将」です。

王将は、通常上手(うわて)、または後手が用います。

将棋駒にはもともと「玉将」しかなかったようです。

平安期の将棋には「玉将」はありましたが、「王将」はありませんでした。

興福寺境内から出土した11世紀半ばの日本最古の将棋駒には、「玉将」が3枚もありました。

しかし、その将棋の駒には「王将」は含まれていませんでした。

「王将」と「玉将」は、実質的に役割に違いはありません。

礼記に「天に二日なく、地に二王なし」とあることから、「王将」と「玉将」の駒がそれぞれ1枚ずつとなりました。

「王将」の意味

「王将」は、将棋の駒の一つです。

軍隊でいえば「大将」に当たり、他の駒はこれを守護します。

前後左右と斜めに一枡ずつ動くことができます。

相手に攻められて動けなくなると負けとなります。

もう一方の大将は「玉将・ぎょくしょう」と呼ばれ、王将は上手(うわて)方が持ちます。

チェスの「王」と同じです。

◇王手
将棋で、直接に相手の王将を攻める手のことです。

転じて、相手の生死を制すような手段もこのように呼びます。

「優勝に王手をかける」のように使います。

「玉将」の意味

「玉将」は、将棋の駒の一つです。

下手(したて)の者が用いる駒です。

チェスの[the king]にあたります。

玉は金、銀、桂、香などと同じように宝物に基づく名称です。

◇「玉将」の格言
「居玉は避けよ」・・・・・玉が初期の位置のままだと、攻められやすいし、王手飛車取りを仕掛けられやすいので、なるべく移動した方がよいということです。

「中段玉は寄せにくし」・・上部にいる「玉」は狙われやすい一方で捕まりにくいので、防戦一方なとき、中段へ逃げることで逆転できることがあるという意味です。

     対義語は「玉は下段に落とせ」です。

「角筋の玉受け難し」・・・角筋とは角の攻撃範囲のことです。

敵の角筋に玉を置いていると、じり貧になりやすいので注意せよということです。

「玉」が駒として用いられた意味

将棋は、もともと盤上で宝物を取り合うゲームだったという説があります。

「玉将」は、宝物の「玉璧」を基に作られたと云います。

玉璧(玉へき)は古代中国で祭祀用あるいは威信財として使われた玉器です。

形状は円盤状で、中心に円孔があります。

表面には、美しい彫刻が施される場合もあります。

璧の起源は、良渚文化といわれています。

中原では二里頭文化の時期にいったん姿を消しますが、殷代に再び現れます。

周代に、璧は礼法で天を祀る玉器として用いられました。

諸侯が、天子へ献上するものとして璧を記しています。

璧は日月を象徴する祭器として、玉器のうち最も重要なものとなりました。

春秋戦国時代や漢代に、装飾性を加えて盛んに用いられました。

玉壁は、「完璧」の語源にもなりました。

まとめ・戯曲「王将」

「王将」は、北条秀司作の戯曲です。

棋士・坂田三吉の生涯を描いた作品で、3部作で成っています。

1949年6月、新国劇の辰巳竜太郎主演で初演されました。

明治の末、大阪の天王寺裏の長屋で貧乏暮らしをしていた坂田三吉が、将棋の天分を生かして関西一の棋士になるまでを、「妻・小春」の献身や「娘・玉江」との葛藤を絡めて描いた作品です。

1948年、伊藤大輔監督で大映により映画化されました。

後に坂田三吉の弟子が語ったところによりますと、戯曲とは異なり坂田三吉は愛妻家で、夜中に打つ将棋の駒音が妻の睡眠を邪魔しないかと気を使ったと云います。

最新の記事はこちらから