「文化勲章」と「文化功労者」と「人間国宝」の違い・意味と使い方・使い分け

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長年、文化・芸術・芸能の分野で功績のあった者に与えられる、あるいは認定されるものとして文化勲章、文化功労者、人間国宝があります。

文化勲章は、文化の発展に多大な功績を挙げた人物に与えられる勲章です。

文化功労者は、文化の発展における功績が大きい人物を選定し、認定するものです。

人間国宝は、文化財保護法に基づいて重要無形文化財の保持者に対して指す言葉です。

文化勲章とは

文化勲章とは、「科学技術・芸術など文化の発展・向上にめざましい功績を挙げた者」に対して、1937年から始まった勲章のことです。

基本的には文化功労者の中から推薦し、閣議で決定されます。

毎年11月3日の文化の日に、天皇陛下から勲章を親授されます。

比較的高齢の方から選出されますが、ノーベル賞受賞者など若くして受章する人物も見受けられます。

ちなみに、憲法の規定により国民栄誉賞などと異なり、文化勲章に金品などの副賞はありません。

文化功労者とは

文化功労者とは、「文化の向上発達に関し特に功績顕著」の者に対して認定するものです。

文化勲章によって従来文化人への功績をたたえていましたが、文化勲章は憲法第14条の「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない」という規定により、文化勲章受章者に金品等の副賞が与えられないことから、1951年に文化功労者の制度を設けて功績顕著な人物に対して年金を支給することにしました。

なお、文化勲章を受章したときに文化功労者になっていない場合は、あわせて文化功労者にもなります。

人間国宝とは

歌舞伎など芸能の分野、伝統文化の分野において多いのが人間国宝です。

これは文化財保護法に基づいて文部科学大臣が指定した「重要無形文化財保持者」の通称であり、法律等における正式名称ではありません。

しかし、法律ではそれにかわる語もないため、一般的には「人間国宝」の名で知られています。

特に演劇、音楽、工芸等において特に価値の高いものに対して認定されます。

通常は文化財に認定されるのは「技術・芸能」でしょうが、これらを世に知らしめるのはまぎれもなく人間ですので、それらを表現する者を「人間国宝」として指定されるのです。

文化に功績顕著な人物をたたえる意味では共通している

かつて政治家や軍人であれば、功績がある程度見えるというのもあり、評価の対象にもなり得ました。

しかし、文化・芸術・芸能においてもまた、素晴らしい技術・表現を持つ者が多く誕生し、作品等でそれらが体現されるのです。

ちなみに、文化勲章を発案したのは当時の内閣総理大臣である広田弘毅でした。

彼は軍人ではなく外交官としてこれまで活躍した人物でした。

彼は文化がもつすばらしさに着目したのかもしれません。

初年度は9名に授与しています。

しかし、戦後憲法で勲章の特権禁止ということがあり、文化功労者という制度を設けて年金支給を可能にしました。

また、現在では後継者不足も叫ばれるなかでも、後世に残すべき技術を持つ者に「人間国宝」としての指定を行っています。

改めて、文化の影響力を感じさせられるのではないでしょうか。

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