「押さえる」と「抑える」の違い・意味と使い方・使い分け

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二つの言葉の使い分けの傾向は一定ではありません。

「押さえる」は、広く一般的に用いられています。

対象物(者)に対して、力を加えて動きの取れない状態にする場合、もしくは、権力などで対象を封じる場合は「押さえる」を用います。

物理的な力を加える場合でも特に上からの圧迫する場合には、「圧さえる」を使います。

対象物(者)に対して、何らかの力を以て「抑止」「抑制」する場合は、「抑える」を用います。

「押さえる」の意味

①「動かないように押し付けて力を加える」という意味です。

「両手で帽子を押さえる」「文鎮で紙を押さえる」「弦を押さえて弾く」のように使われます。

②「おおうようにして、自分の体に押し当てる」という意味で用いられます。

「目頭を押さえる」「患部を押さえる」「耳を押さえる」のように使われます。

③「取り押さえたり差し押さえたりして、しっかりと捕まえる」「相手が否定する事実をとらえる」という意味です。

「犯人を押さえる」「証拠を押さえる」「犯行の現場を押さえる」のように表します。

④「自分の物として確保する」という意味です。

「チケットを押さえる」「使用権を押さえる」のように使われます。

⑤「要点などを把握する」「弱点などを握って相手を支配する」という意味です。

「弱点を押さえる」「つぼを押さえる」のように使われます。

⑥勢いを増そうとするものを押しとどめる場合、「押さえる」または、「抑える」で表します。

「反対派の動きを抑える」「猛反対を押さえる」のように使われます。

「抑える」の意味

①勢いを増そうとするものを押しとどめ封じ留める場合、「押さえる」でも「抑える」でも表すことができます。

「反対派の動きを抑える」「猛反対を押さえる」のように使います。

②「ある限度を超えないようにする」という意味です。

「出費を抑える」「被害を最小限度に抑える」「打線を抑えて勝つ」のように使われます。

③「勘定や欲望が高ぶるのを留め抑制すること」という意味です。

「感情を抑える」「怒りを抑える」「抑えた演技で好演する」のように使われます。

「押さえる」と「抑える」の用途

◇「押さえる」
物質に対して圧力をかけて「押さえる」という意味の場合
「紙を押さえる」「梯子を押さえてください」「戸をしっかりと押さえて」
ふさぐという意味で使用される場合
「傷口を押さえる」「ハンカチで口を押さえる」
「捕まえる」という意味で使われる場合。

「犯人を押さえる」「すりの現場を押さえる」「証拠を押さえた」

◇「抑える」
抑制するという意味の場合
「暴力を抑える」「非難を抑える」「報道を抑える」「人口の増加を抑える」「出費を抑える」
「赤字を抑える」「輸出を抑える」「投資額を30%に抑える」「うわさが広まるのを抑える」
圧倒するという意味の場合
「無得点に抑える」「的を抑える」
感情を抑えるという意味の場合
「激情を抑える」「涙を抑える」「あくびを抑える」「抑えがたい苦しみ」「怒りを抑える」
程度を下げるという意味の場合
「色調を抑える」「声を抑える」「発作を抑える」「調子を抑えて話す」

まとめ・「押」と「抑」の漢字の意味

「押さえる」は、「対象物(者)を動かないようにおさえる」という具体的な行動をとる場合に使用します。

「押さえる」のもう一つの主要な意味は、「物事の要点を探し出してつかむ」という意味です。

「押」という漢字は「手+甲」で構成されています。

「甲」の部分は、亀の甲羅の象形で、「おおう」という意味です。

「押」の字義は、「手で物をおおっておさえる」です。

「抑える」は、「おもう通りに支配する」「無理に屈服させる」という意味を含みます。

「抑」の漢字は、篆文(でんぶん・印章に使われる書体)では、「印」の形を裏返しにしたもので表します。

そして、「印を押す」という意味を持ちます。

「抑える」は、「手+印」で構成されることから、「手で印を押すこと」を意味し「抑える」という意味を含むようになりました。

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