二つの言葉は共に、動作・状態がある限界を上回ることです。
「越える」は、一般的に広く使われます。
「物や境界を過ぎる・乗り越えること」を意味します。
また先行する人の実績や実力を上回ることを意味します。
「超える」は、一定の分量や基準を超えて限度以上になる場合使用します。
通常の概念や区分にとらわれない状態です。
「越える」の意味
「越」と「超」は、意味がとても似ているので英語で比較すると判りやすいと思います。
「越える」が「乗り越えて向こう側に行く」という意味で使われる場合、[Cross/go beyond/go over]などが使われます。
「国境や峠を越える」意味の場合、[Cross the border/cross the pass]が使われます。
「超える」は、「物の上を越えていく場合」にも使用されます。
例えば、[The ball sailed over the right fielder’s head. (球はライトの頭上を越えた)]などです。
「超える」の意味
「越」と「超」は、意味が似ているので英語で比較してみましょう。
上回るという意味で使われる場合、[Top/exceed]が使われます。
He was a big man, topping 2 meters. (2mを超える大男)
My expenses exceeded my income. (支出が収入を超えた)
主義や利害を超えるという意味で使われる場合、[Transcend ]が使われます。
People transcend their own views and interests to unite in the antinuclear movement.
(人々は、主義や利害を超えて反核運動に集結した)
世代を超えて・・・by people of all generation
「越える」と「越える」の用途
①「物の上を越えていく。
障害などを乗り越えていく」を意味する場合・・・「関越えて」「国境を越える」
②「時間を経過する」を意味する場合・・・「年越し」「冬を越える」
③「程度を過ぎてそれ以上になること」を意味する場合・・・「定員を超える」「温度が30度を超える」
④「上回る。
まさる」を意味する場合・・・「力が師匠を超える」
⑤「決まりに背く。
規則に外れる」を意味する場合・・・「矩(のり)を越えず」
⑥「飛び越す。
追い越す」を意味する場合・・・「兄を越えて弟が家を継ぐ」
⑦「主義・立場を超越すること」を意味する場合・・・「利害を越えて」「怨讐を越えて協力する」
まとめ・漢字で比較すると・・・
漢字の成り立ちで比較すると以下のようになります。
「越」は、「走+戉」で構成されます。
音符の「戉」は「遠い」という意味です。
遠方に越していくことを意味します。
一方、「超」は、「走+召」で構成されます。
音符の「召」は、「跳」に通じ、飛び上がることを意味します。
「走」を付すことにより「飛び越えること」を強調します。
これら二つの文字が重なった「超越」という熟語は、「普通の限度をはるかに超えること。
俗事から抜け出ること。
まさる、優れる」という意味です。
哲学の分野では、「超越・transcend」は、超自然を意味し、そのことから「神」という意味が生まれました。
「越える・超える」は共に、動作・状態がある限界を上回ることですが、「超える」の方が、量的な限度にかかわる場合が多いと思われます。