「忠」は、君主に対して臣下たる本分をつくすことです。
英語では「loyalty」で表されます。
「忠義」は、主君や国家に真心をつくして仕えることです。
英語では以下のように表します。
「忠誠」という意味の場合「loyalty」で表されます。
「献身」という意味の場合「devotion」です。
「忠義者」は「a loyal person」です。
「忠誠」は、心から忠義をつくすことです。
英語では「loyalty」「allegiance」「fidelity」で表されます。
「loyalty」は、個人の献身的感情を表します。
「allegiance」は、国家や団体に対する義務感を表します。
「fidelity」は、約束や主義に忠実であることを暗示します。
「忠」の意味
「忠」は、以下のような意味です。
①偽りのない心のことです。
「まごころ」「誠」「まめやか」なことです。
②君主に対して臣下たる本分をつくすことです。
真心をこめて主君や国家に仕えることです。
③「忠」は、律令制の四等官の第三位の「丞」の一つを表したものです。
「丞」は、官司によって文字を異にします。
弾正台では「忠」の文字を当てます。
事務上の過誤の摘発・公文書の審査・宿直の手当てなどを担当します。
<歴史>
「忠」は、儒教の徳目の一つです。
中国の戦国時代、「恩顧と献身」という君臣間の秩序を確立する必要があった時代に発展しました。
日本では、武士の主従関係が確立し、従者の主君に対する義務を「忠」と呼ぶようになりました。
以下のように使います。
臣下として忠を尽くす 忠のもののふ
忠ならんと欲すれば孝ならず 忠をつくす
君に対する忠、親に対する孝
「忠義」の意味
「忠義」は、主君や国家に真心をつくして仕えることです。
「忠節」「忠誠」という意味です。
臣下が主君に真心をつくす様のことです。
以下のように使います。
臣下として忠義を尽くす
やたらに忠義だてする 忠義顔
<忠孝>
「忠孝」は、君主に対する「忠義」と親に対する「孝行」を結合して説かれた道徳思想のことです。
君主と親に対する人としての道です。
「忠孝を尽くす」「忠孝の士」のように使います。
「忠誠」の意味
「忠誠」は、心から忠義をつくすことです。
「まごころ」のことです。
特定の人間・集団・信念に自己をささげ、節操を変えないことです。
中世封建社会における臣下の主君に対する忠誠義務を意味しました。
以下のように使います。
臣下として忠誠を尽くす
祖国への忠誠を誓う 忠誠心
<忠の漢字>
字義は「まごころ」「臣下が君主に仕える道」「まめ・まめやか」「ただしい」です。
解字では、「心+中」で構成されます。
「中」の部分は、「中にあってかたよらない」を表します。
これにより、「偏らない心」を表し、「真心」を意味するようになりました。
「忠」と「忠義」は、真心をこめて主君や国家に仕えること
「忠誠」は、心から忠義をつくすことです。
「忠」「忠義」「忠誠」は、類語です。
「忠孝」は、これらの言葉の関連語です。
共通する意味は「君主、または、大切な相手に対し、真心を以て尽くし仕えること」です。
「忠」は、もともと真心を尽くす意味ですが、臣下としての「忠義」の意味でも使われます。
「忠義」は、主君や国に誠実に仕えることです。
しかし、外からの強制や形の上での義務感が強くなったため「忠義立て」「忠義面」のような言葉も生まれた。
そのため、死語になりつつあります。
「忠誠」は、「忠義」よりも当たりの柔らかな言葉です。
「裏切らない」という意味です。