「控える・ひかえる」は、分量や程度を押さえて度を越さないようにすることです。
「少なめにする」という意味の場合、英語では以下のように表されます。
「父は酒を控えている」は「My father has cut back on the amount he drinks.」です。
「塩分を控えなさい」は「Cut down on your intake of salt.」です。
「差し控える」は、控えめにすることです。
遠慮することです。
英語では「be moderate」「refrain from」で表されます。
「控えめにする」という意味の場合「be moderate」を使います。
「遠慮する」という意味の場合「refrain from」です。
「酒を少し差し控えなさい」は「You must be more moderate in your drinking habits.」です。
「私の意見を述べるのは差し控えさせていただきます」は「I won’t say anything.」です。
「慎む」は、度を越さないように控えめにすることです。
英語では「refrain from」「abstain from」で表されます
「暴飲暴食をつつしみなさい」は「Don’t drink or eat too much.」「You should eat and drink in moderation.」です。
「控える・ひかえる」の意味
「控える・ひかえる」は、他動詞の場合、以下のような意味です。
①分量や程度を押さえて度を越さないようにすることです。
制限することです。
②あることを配慮して自分の行動を押さえることです。
抑制することです。
③距離的・時間的にすぐ近くにあることです。
④忘れないように、また、後々のために書き留めておくことです。
メモを取ることです。
⑤古風な言い方で、動こうとするものを押さえ留めることです。
ひきとどめることです。
以下のように使います。
風邪が治るまで外出を控える 試験を明日に控える
塩分を控える 言動を控える 発表を控える 酒を控える
「差し控える」の意味
「差し控える」は、以下のような意味です。
①控えめにすることです。
遠慮することです。
②そばにいることです。
「控える」と同じ意味です。
以下のように使います。
コメントは差し控えさせていただきます
酒を差し控える 発表を差し控える
<関連語>
「憚る・はばかる」は、対象に差しさわりがあることを感じて遠慮することです。
周囲の世界に気兼ね・遠慮があり堂々としていられないような場合に用います。
「人目をはばかる」「当たり憚らぬ大声」のように使います。
「慎む」の意味
「慎む」は、以下のような意味です。
①用心することです。
過ちが無いようにすることです。
主に「慎む」を使います。
枕草子(119)に「まうづる程のありさま、いかならんなど慎み怖(おぢ)たるに」とあります。
②うやうやしく畏まることです。
主に「謹む」を使います。
平家物語(10)に「謹んで以て承る所件の如し」とあります。
③物忌みすることです。
謹慎することです。
主に「慎む」を使います。
源氏物語(若菜下)に「さるべき御祈りなど常よりも取りおきて、今年は慎みたまへ」とあります。
④度を越さないように控えめにすることです。
主に「慎む」を使います。
以下のように使います。
私語を慎みなさい 軽挙妄動を慎む
身を慎む 酒を慎む
「控える・ひかえる」は 分量や程度を押さえて度を越さないようにすること、「差し控える」は 控えめにすること、 「慎む」は 度を越さないようにすることです。
「控える・ひかえる」「差し控える」「慎む」は、類語です。
「憚る・はばかる」は、これらの言葉の関連語です。
共通する意味は「度を越さないように気を付けること」です。
「控える・ひかえる」は、分量や回数を少なめにしたり、その行為をしないようにしたりする場合に用います。
「差し控える」は、何かをすることを遠慮したり、状況を見合わせて止めておいたりする場合に用います。
「慎む」は、過ちを犯さないように気を付け、出過ぎないようにするという意味です。
「控える・ひかえる」「差し控える」は、対象がある状況下での具体的な事がらです。
それに対して、「慎む」は一般的に漠然と自分自身をあやまたないように処するような場合に用います。